So Fine 1

□2話
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「傷、痛みますか?」

病院に向かう車内、運転している日本人女性スタッフ 吉田さん が話しかけてきた。

名前「…あぁ。だ、だいじょうぶ…です。」






大丈夫な訳がない。
怖くて怖くて、今でも足の震えが止まらない。


無茶をした代償として、
私の左腕には、鋭いナイフに切られた一本の傷が残った。

こんな怪我、生まれて初めてだし、
傷はズキズキ痛むし、血はどんどん出てくるし。。






あれから大変だった。
ステージから引きずり下ろされ、警備室に連れて行かれた私は、
一応、応急処置だけしてもらいながら自分なりの一連の説明をした。

そのうち、それがあのナイフ男の供述と合ったとかで、一気に対応が激変。



変質者→命の恩人 みたいな。



スタッフがたくさん居る広い部屋に連れて行かれ、
日本語と韓国語で色んな人にお礼を散々言われた後、
病院行きましょうって車に乗せされて、
今病院に向かってるところ…です。




どうやら、ナイフ男は彼女にフラれた原因が、彼女が大好きなアイドルグループSHINeeのテミンのせいだと勘違いして、逆恨みをしてたらしい、と。




もちろんコンサートは中断。

会場内は騒然としていて、泣き叫ぶ子も少なくなかったらしい。

違うメンバーを見ていて、状況が分からない人もたくさん居たから説明が大変だろう、と、
そう吉田さんは車内で教えてくれた。




私はずっと気になっていたテミンの事を聞いてみた。

吉田「ショックを受けてるようだって事しか分からないまま、車に乗ったから…。」
とだけ話してくれた。







病院では傷口を数針縫ってもらった。


先生は別の患者さんへ、看護師さんと吉田さんは手続きがあると、みんな部屋を出て行くと、私はひとり処置室に残された。




心配してたほど傷は深くなかったらしいけれど、

…やっぱり痕は残るんだよな。。




病院に向かう車で吉田さんの話を聞いてる時も、病院で傷を縫われている時も、
ずっと頭の中ではテミンの事が気がかりでしょうがなかった。


気づかなかったにしろ、誰かが自分を狙い、
ナイフを向けてきたんだから。




ショック…受けてるだろうな。。
これからステージ上がるの…怖いだろうな。。






……コンコン

そんな事を考えていると、
ドアのノック音の後に、どこかで見た事のある男性が吉田さんと共に入って来た。





シャイニーのマネージャーさんだ!!




マネ「お怪我は大丈夫ですか?
この度は何とお礼を申し上げていいものやら…。」

吉田さんが通訳してくれようとしていたが、私はゆっくり韓国語で答えた。

名前「大丈夫、です。
私も勝手にステージに上がってしまって。。
せっかくのコンサートを台無しにしてしまって。。
……本当にすいませんでした。」



もちろん私が好きでステージに乱入したわけではないけど、
ほんとは、もっと他にいい解決策があったのではないかと思っていたのは確かだった。


マネ「いえ!苗字さんがテミンを助けてくださったから今もテミンが無事でいられるんです!!
苗字さんは命の恩人です!!
どんなに感謝してもしきれません。本当にありがとうございます!
……あのー、それで本人も直接お礼が言いたいと言うので連れてきてるんですが、入ってもよろしいですか?」




名前「………
……えっ!?!? えーーーっ!!!」




テ、テミンがっ!?
あのシャイニーのテミンが、
来てるの!?会えるの!?




名前「…も、もちろんです。。」



まさかテミンが来るなんて思ってもみなかった私は、一気に緊張し、完全に声がうわずっていた。






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