So Fine 1

□22話
1ページ/4ページ




ドアを開けたまま、何が起こっているのか全く理解できなかった。

頭が真っ白になって体が動かない。



なんでジョンヒョンがここに居るの?
なんで私がここに居るって分かったの?






ジョンヒョン「…ヌナ、寒いんだけど。。入れてくれない?」


外から入る夜の風はとても冷たかった。



ハッと我に返る。


名前「あっ!ご、ごめん。入って!」




とりあえず、何故ここに居るのかは後で聞くとして、
冷たい風からジョンヒョンを守らなければいけない、そう思った。


風邪なんかひかせたら最悪だ。






ジョンヒョンは玄関のドアを閉めた途端、

「あっちぃー。」
と言うと、サングラスとジャケットを脱いだ。


名前「えぇーっ!?ちょっと!
ジョンヒョンが寒いって言うから中に入れたのに…」




困った顔の私に、
ジョンヒョンは あっはっはっはっは と手を叩いて豪快に笑っていた。


その笑い方が妙に懐かしくて愛しかった。




なんだか、色んな事がどうでもよくなった。




会いに来てくれた。

それだけで……
充分だった。





ジョンヒョンはふと真顔に戻ったかと思うと、
私の腕を掴み自分の方へと引き寄せた。


よろけながらジョンヒョンにぶつかる体を、太くたくましい腕が包みこみ、
ジョンヒョンは私の耳元に顔を埋める。





ジョンヒョン「…会いたかった」



その言葉は、まさに私がさっきまで何度も心で呟いていた言葉だった。





私はジョンヒョンの背中に腕をまわし、硬く広い胸に顔を埋める。



ジョンヒョンの温かい胸の中で、熱くなる目元を強く押しつける。



私を抱きしめるジョンヒョンの腕が、少しだけ強くなった気がした。







言いたいことがたくさんありすぎて、何から言っていいのかどうやって話せばいいのか、
今は何も考えられなかった。


ただ、しばらくの間、
ジョンヒョンの胸の中に居られることに幸せを感じていた。








ジョンヒョン「…部屋、入っていい?」



断る理由もない。



名前「…うん」

私は体を離し、ジョンヒョンを部屋の中に入れた。











部屋に入るや否や、備え付けの家具や本を見て「おぉ!」と驚いている。



私はベットの上に腰をかけてその様子を見ていた。



名前「どうしてここが分かったの?」

ジョンヒョン「ん?…フフッ」


うろうろ物色しているジョンヒョンが意味深に笑う。


ジョンヒョン「吉田さんがね、教えてくれたんだよ。マネージャーには内緒だって言って。」



なんだか腑に落ちなかった。
吉田さんが何もなく教えるとは思えなかった。



名前「…吉田さん何でジョンヒョンに教えたんだろう。。」

ジョンヒョン「フフッ、俺が本気だって分かったんじゃない?事務所にバレないようにしろって言ってたし。」




そう言えば昨日も酔った吉田さんは応援するって言ってたな。。。



ジョンヒョン「あの人案外おせっかいな所あるからな。」


その言葉に二人でフフフ と笑い合った。




家じゅう一通り見て満足したのか、ジョンヒョンは床に座った。




名前「…キボムどうしてる?」

ジョンヒョン「あー、昨日はやっぱり相当落ち込んでたよ。今朝は部屋から出てこなかったから顔見てない。。」



キボムに 数日後には宿舎に戻る と伝えてもらうべきかどうか迷った。




ジョンヒョン「…まー、あいつもミュージカルとかずっと忙しかったから良い休息になるんじゃない?」




ベットの方に近づいてきたジョンヒョンは、私の頭をなでる。


ジョンヒョン「大丈夫だよ」

名前「…うん。」



頷く私にジョンヒョンの顔が近づいてくる。



そして、
目を閉じた私の頬に、そっとキスをした。




唇を頬から離すと、すぐにまたさっき座っていた床に戻って座った。








自分に驚いた。


ジョンヒョンのキスが“頬”だということに、私は寂しさを感じてる。




だめだ。
私、何考えでるんだろう。


だって、
それ以上を望んじゃ…だめなんだ。





.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ