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□彼女の夢の話。
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「ねえ、ジャンー」
「あ?」
「最近さ、エレンが夢の中に出てくんのー。」
「はぁ?いきなり何だよ?」
「でねでねー。」
「シカトかよ!」
「いっつも、夢の中のエレンは泣いてるの。」
「…泣いてる?」
「うん、そう。泣きながら、目の前に倒れている人を見るの。それでね、ジャンが駆け寄ってきて、その倒れている人を見て崩れるように膝をつくの。」

「オレが…?」
「うん。それでね。その人に向かって何か叫ぶの。ても、私の場所だと何言ってるのかわからないの。聞こうと思って近づいてみると、ジャンは‘名前、名前!’って私の名前叫んでてね。」
「おい、それって…」

「なんだろうって思って声かけたくても、私は何も話せなくて。声が出なくて。せめて誰が倒れているか見ようって思って、エレンの後ろから覗きこむの。それでね、そこに倒れていたのは
────────私だったの。」


「おい、名前」
「私を私だって確認した瞬間にね、私はその倒れている私の視点に移るの。ちょっとだけ目を開けると、ジャンとエレンが泣いているのが見えて、でも、だんだん目も開けられなくなって…そこで私はいつも目覚めるんだ。」

「…名前…」
「あはは、最近疲れてるのかなぁ。104期生のみんな、最近どんどん減ってるから、精神的にキてるのかも。」
「大丈夫だ。お前は殺しても死なねぇよ。」
「そうだと…いいなぁ…」
「ぜってーオレが守ってやる。」
「…ありがとう。私ね、死ぬのは怖くないんだよ。一番怖いのは…ジャンと離れること、だから。」
「オレだって…お前と離れたくねぇ。一生、何があっても。」
「…嬉しいなぁ。そうだ、悪い夢って、逆にいいって言うよね。ポジティブにいこう、うん!」


「…なぁ、名前」
「んー?」
「お前がもし、巨人に殺されそうになってたら助ける。もし助かんないようだったら…オレの手で殺してやるから。お前も、同じ場面にオレがいたら…殺してくれるか?」
「…うん。でも、ジャンが死んじゃうなら、私もあとを追うからね。」
「はは…じゃあオレは死ねねぇな。」
「長生きしようね、2人でいっしょに。」
「当たり前だ…!」



「おーい、ジャンー、名前ー!召集かかってんぞー!はやく来いよー!」
「ありがとーエレン!今行くねー!」


「…行こっか。」
「あぁ。」



私が見たこの夢が、正夢にならないことを願って…。



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