■□双子@□■
□〜前途多難な恋愛事情〜
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「……はや、…きはや」
聞き慣れた心地良い声が徐々に俺の意識を引き戻す。
「貴隼」
目を開けると逆さまの美隼が映った。色素の薄いフワフワの髪が太陽の光でキラキラ光ってて、なんか…すごく綺麗。
目覚め一番に美隼の顔が見れるなんてラッキーだなぁ。とか、そんなことを思ってたのも束の間、美隼の様子に眉をひそめた。
「…なに? みぃちゃん、随分とご機嫌斜めだな」
美隼の頬に触れようと右腕を上げたが、腕は鉛のように重くて全然動かなかった。それもそのはず、今の俺の状況をよく確認してみると、俺の右腕はミカを腕枕してるし!?当のミカはスヤスヤと俺にしがみついて夢の中だ。
……こんな体勢で寝た覚えはないんだけど。
「美隼、誤解だ」
何が?と、自分でもツッコみたくなる言動だが、とりあえず言ってみた。すると案の定、怪訝な面持ちで美隼が口を開いた。
「…何が誤解かわかんないけど」
…………ですよね!!!
「そもそも貴隼の女関係について、とやかく言うつもりないし」
…無関心ってか。
そりゃね、みぃちゃんは俺のことなんてバカな弟としか思ってないんだろうけど。
「じゃあ何で怒ってるんだよ?」
「だらしない弟だなぁって思って」
「何ソレ、ひでぇな」
「…ふふ、美隼くんの言うとおりじゃん」
俺にしがみついてるミカが笑いながらそう言った。
「おはよ、貴隼」
ミカは美隼がいるにもかかわらず、俺の唇に濃厚なキスをかましやがった。
「よく寝たぁ〜。んじゃ、私そろそろ行くね。バイバイ貴隼。美隼くんも」
ミカはそう言うと美隼の頬にもチュッと軽いキスをして、さっさとその場を後にした。