■□双子@□■
□〜美隼アルバムB〜
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愛と青春の日々
〜美隼アルバムB〜
「悪いけど、また今度にしてくれる?」
貴隼が爽やかな笑顔を浮かべて微笑んだ。
…何グループ目だよ。
オレは隣でその様子をぼんやり眺めてた。
他校の制服を着た女の子が名残惜しそうに貴隼から離れてく。
貴隼が苦笑いを浮かべながらこっちを向いた。
「わりィな、美隼。今日は妙に絡まれる日みたいで」
「別にいいけどさ。あんなに誘われるんなら遊んであげればいーじゃん」
オレがそう言うと、貴隼はオレの頭をわしゃわしゃ撫でた。
「俺は美隼と2人っきりがいい」
そんなことを言いながら微笑む貴隼。
…ほんと、恥ずかしいヤツ。
そうやって女の子を口説いてるんだな?
HR終了と同時に拉致られたオレは今、なぜかゲーセンにいたりする。
ゲーセン自体はいつもの寄り道コースなんだけど、今日は貴隼と2人きり。
オレがバカな挑発に乗ってしまったせいで、今日一日だけ貴隼のゲボクになるハメに。
後悔先に立たずって言葉の意味が身に染みる今日この頃。
……つか、コイツと2人っきりってのがよくないよ。
今日はやたらと女の子に声をかけられる。
やっぱり、集団に声をかけるよりは少人数の方が誘いやすいのか?
いつもは遠巻きに貴隼を見てる女の子達が今日は激しく積極的だ。
それにしても最近の女の子ってスゴイなぁ。
ていうか、貴隼のことを好む子は基本的に積極的なのかも。…みんな派手だし。
「なぁ、そろそろ出る? なんかココじゃゆっくりできないし」
貴隼がそう言って顔を覗き込んできた。
確かに。さっきから逆ナンされまくってて、全然『遊ぶ』って雰囲気じゃないし。まぁ、オレとしては異文化体験ができて、ある意味貴重だったけど。
「あのー…」
ふと、背後から声がした。声の方を向くと、別の女の子達が立っていた。
「今日はお2人なんですねー。よくココに来てますよね?」
女の子の中でひと際目立つ容姿のコが話し掛けてくる。
「そうだけど。なにか用?」
貴隼が爽やかな笑顔を浮かべてそう言った。
すごい鉄壁の笑顔。何百人来ても崩れそうにない。
……コイツの将来はホストだな。(←勝手に決定。)
「よろしければ一緒にカラオケ行きませんか?」
そう言って女の子が貴隼に可愛らしく微笑みかける。
その様子を見てたら、後ろにいる黒髪の女の子と目が合った。
黒髪の子が頬を染めて微笑む。
うわ、可愛い。
なんか、白雪姫みたいな子だ。
色白で、綺麗な黒髪。そして薔薇色の頬が愛らしい。
オレがその女の子に見惚れていたら、いきなり貴隼に腕を掴まれた。
びっくりして貴隼を見ると、無表情でこっちを見てた。
……コワッ!!
でも貴隼の無表情は一瞬の出来事で、すぐに爽やかな笑顔が目に飛び込んできた。
「悪いけど予定が入ってるんだ。ごめんな」
貴隼は女の子達に笑顔でそう言うと、オレをぐいぐい引っ張って店を出て行った。