短編集

□サボリ
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「予礼、鳴ったんだけど」

「…………」

「俺はサボりだぜ」

「言うのがおっせぇんだよ!!!!!!!!!」





「っぁああああもういいや、俺もサボる」

「あーあ、いけないんだ」

「お前が言うな!」


さすがに授業中に音を鳴らすわけにもいかないのだろう、鵆はギターを傍らに置いた。

俺はそれを横目に見ながら、鵆がいる壁とは反対に、柵に背中を預けて座った。

こちらの方が、陽が当たって気持ちよさそうだと判断したからだ。

この時期、日向と違って日陰は寒い。

鵆もそれに気づいたようで、若干背中を丸めながら俺の隣へ移動してきた。


「真似すんなよ(笑)」

「うっせ、寒ぃんだよあっち」


今日は風もなくて雲もすこしかかってる。

日の光が適度に当たってまさに昼寝日和だ。

と、その前に。


「おい音尾、タバコの煙って平気か?」

「あ?なんで?」


カチッ、シュボッ、スー・・・


「フゥー・・・俺が吸うから」

「おい!せめて俺の返事を聞いてからにしろよ!」

「ごめん我慢できなくてーフイー・・・」

「お前なぁ・・・っ」


風が無いため、吐いた煙は流れることなく上昇していく。

暇だったので、煙の輪っかをつくってみた。


「うお、すげ。お前そんな技持ってたのか」

「こんなことも出来んぞ」


大きな輪っかの中に小さな輪っかを作って重なってるように見せる。


「うわすげー!」

「(結構単純な所もあんのな)」


暇つぶしに身につけた技のおかげで、友人の意外な一面を知ることができた。






「つかお前未成年だろ」

「おいあんだけ楽しんどいて今更それか」




そんな屋上での出来事。

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