短編集
□初恋
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3年生になって、私には急激に友達が増えた。
言うまでもなく、祐太のおかげだ。
休み時間になる度に、私と祐太の席の周りは人だかりになった。
私たちの周りはいつも、人と笑いと笑顔で溢れた。
とても、幸せな日々だった。
「お前さ、大崎と結構仲いいだろ?」
ある日、放課後の教室で祐太が聞いてきた。
大崎宏美ちゃんは同じクラスの女の子で、少し天然が入っているものの、成績優秀な生徒である。しかも可愛い。
「あぁ、うん、ヒロミ?仲いいよーwあの子面白いんだよねー天然だからたまーにすごい発言するしさ!あんたまだちゃんと話したこと無いっけ?」
「あー、うん」
「ヒロミがどしたん?」
「可愛いよな」
「そりゃヒロミだかんねー、色白だし細いし髪綺麗だし。うん、美人だね!」
「俺さぁ」
「うん?」
「大崎の事好きなんだよなぁ」
あれ?
「え、マヂ?あんたが?」
「・・・うん、多分?」
なんでだろ
「だっから何でいっつも疑問形w」
「いや、うん、好き、だわ。うん」
なんで
「そっかぁあんたがヒロミをねぇwwwふは!ハードル高〜いww」
「うっせ!自分でもわかってるっつの!」
なんで、こんなに胸が苦しいんだろう。
「ま、頑張れば〜?あの子男に興味ないから落とすの大変だよ〜^皿^ニシシ」
「だよな〜。うん、まぁ頑張るわ」
あぁ、そうか
あたしは、祐太が好きになっていたのか。
気づくのが遅すぎた、夏の出来事だった。