デスドアオリジナル

□赤い雨
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暗闇の中、砂が舞い上がり幻化が始まる。

それは不浄のセカイへの入り口。

少女は歩みを止める事なく、前へ進む。

魂を救うために、或いは滅するために。


雨が降る。
シトシトと。

街は暗く街灯の明かりも薄暗かった。

女の子が泣いている。
少女はその女の子に近付く。

「どうしたの?なぜ…泣いてるの」
少女が聞くと女の子は泣くのを止めた。

「お父さんに叱られちゃったの…お姉ちゃん誰?」

「私はシュクレン…あなたは何て言うの?」

「陽子」
陽子は濡れた黒い髪が顔にぴったりくっ付いていた。
あどけない表情で端正な顔立ちをしていた。
赤い靴がとても似合っていた。

「お家に帰ろう?お父さん…心配してる…」
シュクレンが陽子の手を握る。

「うん、お姉ちゃんも一緒に来てくれる?」
陽子はまた泣き出しそうな顔をする。
きっと相当叱られたに違いない。

「うん、いいよ…」
シュクレンが頷くと陽子は手を引っ張る。

雨の中歩いていくと決して立派とは言えない古い平屋の家に着いた。
陽子の手が強く握られた。

「ここ?」
シュクレンが聞くと陽子は黙って頷く。

家はどこか陰湿な空気に満ちていた。
中は薄暗い照明が点
いていた。

シュクレンが扉を叩くとガラガラと音を立てて扉が開いた。
すると中から無精髭を生やし、病的な顔色の男が現れた。

「あ、あの…この子…」
シュクレンが陽子に視線を送る。
男も陽子を見る。

「ああ、入れ」
男はぶっきらぼうに行った。
「じゃあね」
シュクレンが陽子の背中を押して手を振る。
「ダメ、お姉ちゃんも一緒に来て!」
陽子がシュクレンの手を握る。
「でも…」
部屋の中は酒の瓶が転がり足の踏み場がなかった。

「この雨だ…何もないが雨宿りくらいしていったらいい」
男はシュクレンを促す。

「…失礼します」
シュクレンは中に入る。
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