デスドアオリジナル

□奇跡の拳
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鈍い音が響き、キリコのカウンターがマッドの顔にえぐりこむようにヒットした。

「ほがぁ…」
マッドはそのまま仰向けに倒れた。

「ごめん!思いっきり手加減したけど予想以上にあんた弱かったの!」
キリコは謝るがマッドの顔面はみるみると腫れていった。

「あの男達のパンチの何倍も痛かったよ…君…パンチ力あるんだね…。驚いたよ。」
マッドは頬をさすりながらフラフラと立ち上がり服についた土埃を払う。

「あたいには力無いよ!カウンターといってあんたの力を利用したの!」
「…カウンター?」
「あんたボクサーのくせにカウンターも知らないわけぇ!?」
キリコは呆れる。
「さぁ…」
マッドは首を傾げ複雑な表情を浮かべた。

「とにかくボクサーとしてはへたれ君確定ね!ボクシングなんか辞めて真面目に働きなさいな!」
キリコは立ち去ろうとするとマッドが追いかけてくる。

「ねぇ!キリコ!お願いだ!僕にカウンターを教えてよ!」
「はぁ!?」
「実は一週間後に試合があるんだ!絶対勝ちたいんだ!さっきのカウンターがあれば少しは勝機があるかもしれない!」
マッドの腫れて細くなった目は輝いていた。

「絶対勝ちたい…?一週間後に試合…?」
キリコの眉がピクピク動く。

「うん!うん!!」
マッドが何度も頷く。
「あんたねぇ!ボクシング舐めくさってない!?」
キリコがマッドの鼻先を指で押す。

「あんたみたいなヘボチンが一週間でカウンターを使いこなして勝ちたいなんて御都合主義もいいところね!」
「ええっ!?」
「私の知っているボクサーはもっとかっこ良かったのよ…。リキイシ…。」
キリコは目を細めた。

「ごめん…そうだよね…僕の考えが甘かったよ…。」
マッドはまた俯き猫背になった。
その姿を見てキリコはため息をつく。

「ま、無駄な努力なんてないんだし、やらないよりはマシになるかもしれないわね!超ウルトラスパルタだけどカウンターを伝授してあげるわ!」
「え!本当に!やった!」
マッドはキリコの手を握り飛び跳ね大いに喜んだ。
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