デスドアオリジナル

□赤い雨
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男は酒を酌み飲み始めた。
外は雨が降り続けている。
「いつまで黙ってるんだ?」
男が突然苛立ちながら言う。

「え…?」
シュクレンが陽子を見ると口を紡いでいる。
その口は固く閉じられ歯を食いしばっていた。

ドンっと一升瓶をテーブルに置く音に驚いた。
男は明らかに何かに苛立ちを感じていた。

「こっちに来い!」
男は立ち上がり陽子の手を引っ張り隣の部屋に入っていった。
一瞬、陽子の目と合った。
それは恐怖に怯える目だった。

シュクレンは居間に取り残された。
雨がトタン屋根を叩く音だけが聞こえていた。

陽子はどうなったろう?
シュクレンは気になり隣の部屋の襖をそっと開ける。

「いや!やめて!お父さん!いや!!」
突然女の声がした。
それは先程の陽子の声ではなかった。

「はぁ!はぁ!静かにしろ!!動くなっ!」
二人の男女が服を乱して絡み合っていた。
シュクレンはすぐに襖を閉める。
心臓が驚く程に激しく鼓動していた。

「…陽子は?」

大して大きい家ではない。
そしてさっきの男は間違いなくあの陽子の父親だった。
あの女は?
シュクレンは考えを張り巡らせる。

染みだらけの壁が蠢いてるような気味の悪い空気
が部屋を包む。

「気持ち…悪い…」
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