デスドアオリジナル

□赤い雨
5ページ/7ページ

シュクレンが剃刀女に手を添える。

「思い出して…もう…痛い思いしなくていい…もういいから…」

「あぅぅぅあああ…」
剃刀女は涙を流し続ける。
するとその姿は徐々に小さくなり陽子の姿になった。

「陽子…?」

「痛い!痛いよぅ!痛い!」
陽子は泣き叫ぶ。
シュクレンは陽子に語りかける。

「もう痛くない…痛くないよ…辛い事…全部終わったから…今度は幸せに…」
しゃがみ陽子の頭に手を乗せた。

「シュクレン!!油断するんじゃねぇ!!早くトドメを刺せーっ!」
クロウが叫ぶがシュクレンは目を細める。
「両親が…守らなければ誰が子供を守るの?」
「チッ!いい加減にしろ!!自我に目覚めた魂は自ら魂に戻る事はない!徹底的に痛めつけて死をわからせろ!死を自覚させてやれ!!」
「うるさい!うるさいうるさい!!」
シュクレンは叫ぶと立ち上がり鎌を陽子の背中にトンと落とす。

「あ…」
陽子が泣くのをやめるとにっこり笑う。

「お姉ちゃん、優しい。とても優しいね!」

「陽子…次は…大丈夫…」
シュクレンは陽子の肩に手を添える。

「お姉ちゃん…その優しさ…虫酸が走る!!」

「っ!?」
シュクレンは足元に熱いものを感じて立
ち上がる。
しかしすぐにバランスを崩して倒れた。

「うぁっ!?つっ!!」
足を見るとアキレス腱が剃刀で斬られていた。

陽子が立ち上がる。
その顔は子供とは思えない程嫌悪に満ちた笑顔だった。
切断したはずの腕が何事もなかったかのように再生していた。

「優しくして近付いてきたおじさんはみ〜んな私を玩具にしたの。優しさなんて所詮はそんなもの…」

「あ…くっ…」
シュクレンは足を引きずり立ち上がる。

陽子はケラケラ笑う。

「もう泣いても許してあげない。私をなぶったもの」

シュクレンは鎌を構える。

「純一郎…亮太…無念の…その気持ち…」

陽子が剃刀で斬りかかる。
その一撃を鎌で受け止め薙払うと陽子は間合いを取る。
追撃しようと踏み込んだがバランスを崩して倒れた。

「あ…足が…」

そして剃刀が肩をかすった。
シュクレンはすぐに身を起こす。
陽子が剃刀を水平に振る。
その剃刀がシュクレンの額を斬った。

血が顔面を赤く染めた。

「う…ああ!!」
シュクレンは闇雲に鎌を振る。
それは空振りに終わり右手に熱いものを感じた。

「熱っ!?」
手首が斬られ血が噴き出す。

鎌が右手から離れた。

陽子が再び
剃刀を振る。
「うああああっ!!」
右手が大きく切り裂かれた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ