デスドアオリジナル
□赤い雨
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「その目…その絶望に満ちた目があの時のお父さんと一緒…私に必死に命乞いしたの。でも私を殴ったから許さなかった。私をレイプしたから許さかった」
剃刀女はニヤリと笑うとシュクレンの首に剃刀をあてがう。
「あなたは可哀想な死神…このセカイに縛られた可哀想な存在…だから私が殺してあげる…生きるも哀れな死神」
シュクレンの首に剃刀が食い込み血が流れる。
「うぅ…クロウ…助けて…クロウ…」
シュクレンは恐怖によって震える声で助けを乞う。
しかし空にいるクロウには届かなかった。
雨が一層激しく降ってくる。
「ク…ロウ…た…助け…て…」
シュクレンの目から涙が流れる。
「い…嫌…」
「さようなら」
剃刀女は剃刀を横に引いた。
シュクレンの首が切り裂かれ血が噴出する。
声もなくシュクレンは倒れた。
赤い血が周りに広がっていく。
体が激しく痙攣を始める。
何か叫ぼうとしたがゴボゴボと液体が溢れる音しかしなかった。
熱い?
寒い?
一瞬だけ何かが思い出される。
知らない女が酷い形相で何か叫んでいた。
「早く死ね!バーカ!」
目の前に光が溢れた。
…クロウ
「お前は今日から俺様に仕えるのだ。お前が自分の運命
を呪い、世への憎しみ、生への絶望の気持ちは俺様がいただく!お前に残された気持ちは大事にしまっておけ…いつか、必要になるからな!」
…キリコ
「シュクレン!また会おうね!」
キリコの笑顔が見えた。
死神になってからの初めての友達…。
ごめん…ごめん…みんなごめんなさい…
剃刀女がシュクレンを見下ろしている。
その顔が笑みで歪むとシュクレンの瞳から光が失われた。
痙攣も治まり首からの出血も止まった。
血溜まりの中、シュクレンは虚空を見つめていた。
剃刀女がケラケラ笑いしゃがみシュクレンの顔を覗く。
「みんな、死ぬの!」
雨は赤くなり降り注ぎ、シュクレンを闇に飲み込んでいった。
デスドア…そこは不浄の魂が溢れるこの世とは理が違うセカイ。
時間も上も下もない。
不浄の想いはデスドアで絶える事なく溢れている。
終わり