デスドアオリジナル2

□涙と笑み
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「…なんか変…」
シュクレンは呟く。
「ん?にゃにが?」
キリコは口に一杯物を詰め込みながら言う。
「私…変…。」
シュクレンの目から涙がこぼれ落ちた。

「あらあら!どうしちゃったの〜?」
キリコが驚き立ち上がるとシュクレンの隣へと移動する。

「キリコ…会いたかった!ずっと…私…変…。」
シュクレンはこの気持ちをどういう言葉で表現したらいいのかわからずにただ泣いた。
キリコは小さくため息をつくと微笑む。

「シュクレンも感情が戻ってきてるんだね!今はまだわからない気持ちもこれから少しずつわかるようになるよ!」
「感情…?」
「うん、あたい達は不完全だから。死神と契約する時に感情の殆どを抜き取られてしまうんだって!」
キリコは料理を頬張る。

「なぜ…?」
なぜ自分の感情がこんなにも希薄なのか、そして感情が高ぶった時に頭の中がぐるぐると何かが激しく回るような感覚が何なのかわかったような気がした。
「ノスタルジアが言うにはね、デスドアはどんな欲望も叶ってしまう不浄のセカイなんだ。だから感情があると我欲が生まれて些細な願い事も叶ってしまう。すると魂はそれから抜け出せなくなって不浄化するの!何でも願い事が叶うようになると努力しなくなってしまう。都合のいい夢を見続けてしまう。死神として働くには感情はいらないんだって!」

「そうなんだ…」

「それと感情を媒体に私達従者と魂を繋げるんだって!魂が繋がってないと鎌に変化できないらしいのよ!」
キリコは鎌を振る素振りをする。


「クロコがシュクレンから奪った感情はたぶん…笑う事。あたいがノスタルジアに奪われたのは泣く事なんだ。」
シュクレンはなぜクロウが笑う感情を奪ったのか薄々感づいていた。
たぶん生前は心の底から笑った事がなかったと思った。
全ては何かをごまかすために笑っていた。
それは作られた笑いだったのだ。
クロウは敢えて自分が必要としない感情を奪ったのだ。それと生前の記憶も。

それはシュクレンにとっては都合が良かったのかもしれない。
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