デスドアオリジナル2

□涙と笑み
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「私…。」
シュクレンは俯く。どす黒い何かが胸の中に広がり、心臓が大きく鼓動し始める。

「早く死ねバーカ!」
それは耳元で囁かれた言葉。自分に向けられた憎悪の念。

「あんたなんか産むんじゃなかった!」
頭の中に遠くから何度も響いてた声が聞こえる。その声は恐ろしく、感情が戻るにつれて大きく鮮明になっていった。

「シュクレン?どうしたの?」
キリコが覗き込む。

「うん…帰ろう…一緒に…」
シュクレンは頷きながら言う。

「ふふ、約束なのだ!」
キリコはシュクレンの頬をつまみ引っ張る。


シュクレンとキリコはデスドア管理局に向かう。

デスドア管理局とはデスドアの不浄セカイを把握し、そこに死神を送り出し魂を回収させる。
その回収した魂を浄化し現世に転生させるか天昇させる役割を担っていた。
多くの死神が仕事を求めてやってくる場所でもある。

「今日はあたい達はフリーだからね!ただの見学よ!」
キリコはズンズンと歩いていく。

「私…来るの初めて…」
シュクレンは肩をすぼめてキョロキョロと見回している。

「え?マジ!?」
キリコは驚いた。

「うん…いつもは…クロウが…」

「ふぅん、どうりでちょっと比較的安全な仕事が多いのね!クロコも出世しないわけだわ。」
キリコはいたずらっぽく笑う。

「出…世?」
「そうよ!死神はね、より強く大きな不浄セカイの魂を回収する事によって評価が高まるのよ。評価が低い者は処刑されてしまうのよ。」
「…処刑…。」
処刑という言葉にシュクレンは身震いした。

「そうよ。働かざる者は食うべからず、弱い者は死ぬしかないのよ。それがこのデスドアのルールなのよ。まぁ、それはデスドアに限らずだけどね!どこの世界でも下位争いは熾烈極まりないわね!あ、クロコの評価はそれなりに高いみたいよ!大きな危険を伴う仕事よりも確実にこなせる仕事を選んでるのよ。シュクレンを少しずつ成長させるためかしらね!」
「…クロウが…。」
シュクレンは少しだけクロウが優しいと感じた。
「ね!シュクレン!手を繋ごう!」
キリコが手を差し出す。

「え…なんで?」
シュクレンは目を細めて問う。

「なんでも!」
キリコはシュクレンの手を強引に握ると歩き始めた。
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