居場所

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草薙 出雲side


車で30分ちょいしたところにあるショッピングモールに俺らは来ていた。

「アンナも好きなモンあったら買ってええで?」

面倒臭がって来なかった尊の代わりに珠洲ちゃんの手を繋ぐアンナは瞳を輝かせる。

「よかったね。」

珠洲ちゃんはアンナにそう言ってアンナの頭を撫でた。

あんまり、笑ってへんな。

珠洲はアンナとは少しだけ喋っている。
アンナが話しかけ、それに珠洲ちゃんが受け答える、という形だ。

でも珠洲ちゃんの表情は固まったままだ。
アンナと喋るときにほんの少し、口元が緩むくらいで、まるで笑うことを自ら禁じているようやった。

「クローゼットもベッドとかも買ったし、あとは洋服だね。」

十束は明るく前の方にある女の子向けの洋服屋を指差した。

「可愛い……。」

アンナはそう言って珠洲ちゃんの手を引いて駆け出したが珠洲ちゃんの顔は真っ青だ。


「おい、十束。
あの服屋、アンナが着るようなゴスロリとかばっかやないか。
珠洲ちゃん困っとるで。」


「大丈夫。まともな服もあそこには売ってるらしいから。
…それに今日は特別だからね。」


得意そうに語る十束。

まぁ、ええやろ。




+++++++++++


十束 多々良side

「珠洲ちゃん。これなんかどうかな?」

「珠洲、これは?」

ヒラヒラしたレースやフリルのついたゴスロリを俺とアンナに勧められて珠洲ちゃんは右往左往する。

「もうちょっとマシなのはないんかい。」

草薙さんが近くでタバコをふかしながら
珠洲ちゃんを「可哀相に」と言いたげな
瞳で見つめる。

「「これはどう?」」

俺とアンナが同時に服を珠洲ちゃんに見せる。

アンナは赤いアンナが着ているのと似たデザインのヘッドドレス付きのゴスロリ。
俺のはちょっとごてごてした白いブラウスに黒のベストを着て下は黒いミニスカートにガーターベルト黒いニーハイを履かせた黒を基調とするシックなデザインの洋服。

「あ、…可愛い………。」

「「ホント!?」」


俺とアンナは声を上げる。

「あ…でも……私に、似合うかどうか……」

珠洲ちゃんは視線を泳がしながらも、俺たちの持ってる服に興味があるようで真っ赤になりながらおろおろしている。


「とりあえず、十束が持ってるのは私服にして、
アンナが持ってるのはなんかあった時のための服にしとけばええんとちゃう?」


「なんかあった時って…どんな時ですか?」


珠洲ちゃんは買っても使いどころがなければどうしよう、でもアンナの厚意が、と考えているようだった。

人によく気を使う子だなぁ…。

「大丈夫や。ちゃんとその服を使う時はある。
だから買って損はないで。」

珠洲ちゃんは草薙さんの言葉に何故そんな確証をもってことが言えるのかと小首をかしげる。

まぁ……今日は特別な日だからね。


俺が珠洲ちゃんの髪をわしゃわしゃと撫でたその時だった。


近くで、銃声と空気をつんざくような叫び声が聞こえる。

振り向けばそこには俺らの方を向きながら、
天井に向かって銃を放つ男たちがいた。



「お前らが八田の仲間だな?


やっと敵討ちができるぜ!!!!」



八田、なにやらかしたのさ。

戦力として数えられない俺は
そう思って事の成り行きを見守った。








    

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