大海賊時代

□第3話:WANTED
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ガープが壁を直し終わり、問題発言の余波も終息した。どうやら今回は顔を見に来ただけで見逃してくれるらしい。帰ると言ったガープに対して軽い調子でじゃあなとルフィが言ったら何故か説教が始まった。全くもって身勝手な一族だ。


ルフィはコビーとヘルメッポと表で話をするなか、メリーは立ち去ろうとするガープを呼び止めた。


『ルフィのおじいちゃん』

「ん?おぉどうしたんじゃちびっ子」


呼ばれたガープは腰を折り、メリーと目線を合わせた。メリーの両手を後ろで組みどこかモジモジしていた。


『あのね…ルフィのお父さん、ドラゴンさんってどんな姿をしてるの?』

「ドラゴンか?何故そんなことを聞く?」

『んと、もしかしたらね…ローグタウンで会ってるかもしれないんだ…』


メリーは思い出していた。ローグタウンの港、まだ船であった彼女を見上げていた一人の男を。


「うぅむ、普段どんな格好をしとるか知らんが、顔の左手半分に刺青のあるたいそう人相の悪い男じゃ」

『いれずみってこんなの?』


メリーは記憶を掘り起こし、落ちていた枝で地面に描いた。


「おぉこれじゃ」

『やっぱり…ぼく、ドラゴンさんに会った』





「ローグタウン」海賊王が産まれ、死んだ町。嵐の前の嫌な風が吹き始めたころ、停泊していたメリー号の前に一人の男が現れた。

真っ黒な外套を纏い、僅かに見える顔には独特の刺青。


「これが、あいつの船か…勇ましき羊よ、ルフィを頼む…!」


たった一言、そう言って去っていった男をメリーは忘れなかった。





「そうか…あやつがのぉ…」

ガープは何処か感慨深そうだった。敵対していてもやはり息子の話を聞くのは嬉しいのだろう。


「ところでちびっ子、お前もルフィの仲間か?」

『うん!ゴーイング・メリーって言うの。船の妖精さんだよ‼︎』

「ぶわっはっはっはっはっ!可愛い妖精じゃのう!どうじゃ、海賊やめてわしの孫にならんか?立派な海兵にしてやる」

『いや!ぼくは冒険に出るの‼︎』


ガープの誘いにプリプリと怒るメリー。しかし怒る姿も愛らしくガープはますます欲しくなった。散々撫で回していると部下がそろそろ行かねば、と声をかけてきた。


「ん?そうか…残念じゃのぉもうちょっとメリーちゃんと居たかったんじゃが、仕方ない。それではの‼︎」

『引き止めてごめんなさい。またねー』


海賊が海兵にまたねと言うのは些かおかしな話だが、それでもメリーは手を振ってガープを見送った。


その後何故か写真を撮らせてくれ、と言われて快く引き受けた。左手の中指と薬指だけを折り、掌を外側にして頭の上にもっていく(所謂キラッ!のポーズである)

ありがとね、とお礼に飴玉をもらい意気揚々と部屋へ帰った。



『ただいまー』

「あらおかえり。何処へ行ってたの?」

『おじいちゃんとお話してた!ナミは?』


戻ってきたメリーは一目散にロビンに抱きついた。仲間内で一番年上で落ち着きのあるロビンを、まるで母親のように慕うメリー。ロビンも満更ではないようで、飛びついてきたメリーをしっかりと抱き締めた。


「裏のプールへ行ったわ。夜はプールサイドでバーベキューですって」

『ほんと‼︎楽しみー。あ、ぼくも泳ぎたい!いいかなぁ?』


元・船であるメリーは水が恋しいのかウズウズしている。そんなメリーの気持ちに気づいたロビンはクスッと笑って、メリーの手を引いた。


「ココロさんがチムニーちゃんの水着を持ってきてくれたみたい。それに着替えて行きましょ」

『うん!後でお礼言わなきゃ‼︎』



その後、水着に着替えたメリーはナミと合流して泳ぎ回っていた。たまにプールサイドのルフィやゾロに水を飛ばしたり、泳げないチョッパーを背に乗せて泳いだりとめいいっぱい楽しんだ。



「んナミさ〜〜ん!メリー!水水肉が焼けたよ〜‼︎!」


「はーーい‼︎」

『あーーい‼︎』


サンジに呼ばれプールから上がる。美味しそうな匂いが鼻を擽り、お腹がなった。
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