□喧嘩するほど
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17も歳が離れてりゃ、そりゃあ当然互いに理解できない部分もある。
だが暁じゃデイダラと組んでたから、少しは若い世代の扱いには慣れてたつもりだった。
しかしだ、一口に若い世代なんつってもやはり人それぞれ個性はあるわけで、デイダラに通用したものがそっくりそのままカンクロウに通用するかってーとそうでもない。
若い世代は無個性だ、なんて言う輩もいるが、馬鹿言ってんじゃねぇよ、何が同じなもんか。

例えば、スネた時。
デイダラの野郎だったらそこらのおでん屋の屋台にでも入って、ばくだんなんか奢ってやりゃあすぐさま機嫌直したのに、カンクロウの奴は、ますます機嫌が悪くなる。
ばくだんは嫌いか、じゃあ別のならどうだ、とこのオレが気を使ってんのに、そういう問題じゃねぇって更にむくれる。

単純に喜ばせようと思った時も、そんな感じだ。
デイダラの野郎は取り敢えず構ってやってれば機嫌が良かった。
しかしカンクロウはそうでもない。
せっかくオレが構ってやってんのに、ウゼェ、キメェ、死ねェと悪口三昧。

何だってんだ、このオレが、このオレがだぞ、せっかく心砕いてやってんのに、何様のつもりなんだ。
ふざけんじゃねぇ、デイダラの方がよっぽど扱いやすくて可愛げがあったぜ。

そう、何回目かの喧嘩の時にぽろっと漏らしちまった。

すると、滅多に折れない気丈な奴が、いきなりへたっと座り込んで、ぼろぼろと涙を溢した。


「えっ、オイ、」


突然の事に焦り、オレもしゃがみこんで目線を合わせると、野郎、涙が止めどなく流れる目を隠しながらしゃくりあげしゃくりあげ、ぽそぽそと言葉を漏らす。


「お、おれ…ッ、デイダラじゃねぇもん…俺は俺だもん…!!」


そりゃそうだ、そんなの分かってる。
と、顔に出ていたのだろう。
口にも出したかもしれない。
今度は泣きながら怒りだした。


「分かってねぇよ!!何かありゃ他の奴に通用した手段でカタつけようと思いやがって…!もっと俺と向き合ってくれよ!俺の為だけの手段見つけてくれよ!」


つまりアレかお前、手段そのものが気に入らなかった訳じゃなく、デイダラにやったってのに嫉妬して機嫌悪くしてたのか。
なんだ可愛い奴め。
そんならそうと…言えねぇよなぁ、コイツにだってプライドはあるだろうし、甘え上手って訳でもねぇし。
オレが無神経なせいで、今まで傷付けてきたのかと思うとやりきれねぇな。


「すまん…オレが無神経だった。もっとお前の事、考えてやりゃあ良かったな。」


宥めるように抱き締めて、背を擦る。
拒まれるかとも思ったが、奴は素直に受け入れてオレに身を任せ、擦る手に合わせ呼吸を落ち着かせていく。


「ごめんな、カンクロウ、お前はお前だもんな…」

「うん…」

「気付いてやれなくてごめんな、オレが悪かったからな…」

「う…ぐ…おれ…」

「ん、どうした?」

「俺…結構…嫉妬深いんだからな…」

「ああ、今知った。」


歳の差を理由にして理解を怠けちゃいけねぇよな。
これからはちゃんとお前に向き合っていくからな、カンクロウ。


終劇
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