心拍数
□第一話
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「へ…ぇ。
相手は?」
「二年生でね、演劇部の先輩なの。
知らない? 小林先輩。」
小林先輩は、
演劇部のトップ。
小林 夕紀先輩。
凄く、かっこ良くて、
演技が上手い。
ただ心配なのは、
悪い噂も多いことだ。
後輩の可愛い女の子を見つけては
とっかえひっかえして遊んでいるらしい、
という噂。
奈月も騙されているのではないか、
と、ちょっとだけ疑ってしまった。
幼馴染の彼氏を悪くいうなんて…
最低かもな?
「いいでしょー♪
なに、ヤキモチ?」
「っ…な訳ないだろ。
僕はお前のノロケなんて聞きたくないんだよ。
僕には関係ないんだから。
余計なこと言うなよ。」
そう、思っても居ないことを言い放つと。
「…そっか。ごめん、響紀」
少しだけ、寂しそうな顔をした。
心臓じゃない胸が、
ちくん、と痛んだ気がした。