〜誠の武士達〜
□嫌な予感。
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季節は冬。今日は珍しく晴れた。
時刻は未の刻をすぎた頃。近藤さんとひなたぼっこをしている。
「もきゅもきゅもきゅもきゅ」
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ―――・・・。
私がおまんじゅうを食べる音。
近藤さんは隣でお茶をすすっている。
「澪はよく食べるなぁ」
「はい!だっておまんじゅう・・・もぐもぐ・・・大好き・・・もぐもぐ・・・ですもん!!」
良い子のみなさんは何かを食べながら話してはいけません。
はしたないです。
「澪は甘いものだったら全部大好きなんでしょ」
ふわっと何かが私を包み込む。
「あ、総司ぃー」
気づけば総司に後ろから抱きつかれていた。
「おぉ、総司。稽古はもう終わったのか?」
「はい。今は左之さんたちがしてますよ」
人懐っこい笑顔を浮かべる総司。近藤さん大好きっ子である。
総司の腕の中で中庭を見渡していると、白い襟巻が目に入った。
「一だぁ・・・。どうしたの?」
「総司、平助があんたと手合わせをしたいと言っていたが」
黒い着流しに白い襟巻。副長信者である。
「平助?あー・・・この前の続きかな」
私の頭を一撫でして、総司は立ち上がった。
「行くの?」
「うん。この前中途半端に終わらせてたからね。決着つけないと」
「ほどほどにねー」
そうだね、と微笑むと総司は行ってしまった。
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