〜誠の武士達〜
□芽吹いた恋心。
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数日後、文久四年の年が明けた。
千鶴は与えられた部屋で、ただ漫然と過ごすだけの日々が続いている。
「(やっと夕方・・・)」
障子を少し開けると、冷気がどっと流れ込んでくる。
「寒い・・・!」
思わず身震いした。
ここに来てまだ日は浅いけれど、大体の幹部の人とは面識があった。
だけど、あと一人・・・・。
新選組唯一の女性、そして最年少幹部のさくら澪さんとは未だ会ったことがない。
話によると私の一つ年下らしいけど。
私が初めてここへ来た時、まさか初対面であんなことをされるとは思っていなかった。
だけど、桜の香りのする優しそうな人だった。
もし会って話せたら、友達になれそうな気がして。
ふぅっと溜息を吐きながら廊下に顔を出した。
「それにしても、もう七日・・・。もしかして、このままずっと幽閉されてしまうんじゃ?」
「それは君の心掛け次第なんじゃないかな」
「っ!?」
ぎょっとして振り向くと、沖田さんがにやにやしながら私を見下ろしていた。
「ど、どど、どうして沖田さんが!?」
「あれ、もしかして気づいてなかったとか?
この時刻は、僕が君の監視役なんだけどな」
「(私、監視されてるんだった・・・)」
「あ、じゃあ・・・もしかして、今の独り言も全部・・・?」
「ん?」
沖田さんの明るい笑顔に頬を赤らめる。
「(どうしよう・・・絶対聞かれてた!)」
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