〜誠の武士達〜
□後日談。
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九日後、土方の言いつけで四人分の白湯と薬をのせた盆を持って、千鶴は広間に来ていた。
「お薬です」
と、池田屋で負傷した―――沖田さん、永倉さん、平助くん。
そして、山南さんに白湯と薬を渡す。
すると四人・・・・山南さんまでもが、苦い顔をする。
「このお薬って、特別な処方をした物なんですか?」
原田さんが、笑って答えてくれる。
「石田散薬か?ま、特別っちゃ特別だな」
「?」
薬袋には『石田散薬』の文字。
「土方さんの実家で作ってるんだよ」
苦々しい表情の沖田さん。
「そうそう、すごくよく効くんだよ。ね?」
ひょこっと現れた澪。
これは毎度のことなので、もう驚かなくなっていた。
澪の視線は土方さんと原田さんに注がれる。
「あ・・・あぁ、そうだな・・・」
「・・・・・まぁ、効く奴もいるな」
澪の意味ありげな笑顔に、どもるお二人。
「「「?」」」
その三人以外、皆が一様に首を傾げた。
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