〜誠の武士達〜

□後日談。
1ページ/5ページ



九日後、土方の言いつけで四人分の白湯と薬をのせた盆を持って、千鶴は広間に来ていた。


「お薬です」


と、池田屋で負傷した―――沖田さん、永倉さん、平助くん。


そして、山南さんに白湯と薬を渡す。


すると四人・・・・山南さんまでもが、苦い顔をする。


「このお薬って、特別な処方をした物なんですか?」


原田さんが、笑って答えてくれる。


「石田散薬か?ま、特別っちゃ特別だな」


「?」


薬袋には『石田散薬』の文字。


「土方さんの実家で作ってるんだよ」


苦々しい表情の沖田さん。


「そうそう、すごくよく効くんだよ。ね?」


ひょこっと現れた澪。


これは毎度のことなので、もう驚かなくなっていた。


澪の視線は土方さんと原田さんに注がれる。


「あ・・・あぁ、そうだな・・・」


「・・・・・まぁ、効く奴もいるな」


澪の意味ありげな笑顔に、どもるお二人。


「「「?」」」


その三人以外、皆が一様に首を傾げた。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ