〜誠の武士達〜

□禁門の変。
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元治元年、七月。


広間には千鶴を含めた幹部が揃っていた。


「会津藩より正式な要請が下った。長州制圧のため、出陣せよとのことだ」


「ようやく来たか!」


「ついに会津藩も、我々の働きをお認めくださったのだ」


近藤さんが目頭をおさえ、しみじみと頷いた。


皆の顔が自然と綻ぶ。


「よっしゃぁ!新選組の晴れ舞台だ!」


「平助、お前はまだ傷が治ってないんだから、さすがに無理だろ」


「えぇぇ!?そんなぁ!」


がっくりと肩を落とす平助の隣で、総司が笑う。


「怪我人は大人しく、ここで待機すべきじゃないかな?」


「そういう沖田くんもですよ」


「え・・・」


「不服でしょうが、私もご一緒しますので」


ため息をつく総司。


「今はしっかり体を治すことが先だよ?」


明らかに不満顔の二人に笑いかける。


「澪、お前も屯所に残れ」


「え、なんで?」


首を傾げる。


私、どこも怪我してないのに・・・。


「何ででもだ」


だけど、有無を言わせないトシの強い言葉にただ頷くしかできなかった。


そして屯所待機の私たちに変わり、千鶴がついて行くことに。


「千鶴、私たちの分も頑張ってきてね!」


「うん!」


後に『禁門の変』と呼ばれるようになる事件の始まりだった。

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