悪魔と天使

□君は悪魔であんたは天使で
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「天界と魔界の結界が崩れかけています!」
一部の上級天使と上級悪魔とが手を組み、天界と魔界へ攻めいっていた。
何故かそれは昔、氷室と紫原が不満を持ち罪を犯した理由と同じ。
人間界を滅ぼそうという大天使と魔王に反発したからであった。
考えを改めさせるために彼らは結託した。
もちろん作戦を練った場所はあの牢獄。
「止めなさい!自分たちが何をしているか分かっているのですか!?」
大天使が問いかける。
「お前たちも何を考えているんだ!人間だって生きているんだぞ!!」
上級悪魔たちは答える。
「今すぐ止めろ!さもなくば消すぞ!!」
魔王は叫ぶ。
「あなたたちが止めたら考えてあげます!できるものならば!我々は知っているのですよ!裏であなた方が繋がっていることを!!」
上級天使たちも叫ぶ。

そう彼らの言う通り。
大天使と魔王は繋がっている。
本来交わるはずのない彼らの考えが交わったのは悲しいかな、彼らが繋がっていたからだ。
「止めないと...........」
氷室は呟いた。小さく寂しそうな声で。
羽を広げ仲間である上級天使のもとへ。
「みんな!!」
目の前に現れた氷室に驚愕したような顔を見せる彼ら。
「氷室...」
「やめようよ、こんなこと!」
「っ...あいつらがおかしなこと言い出すから悪いんだよ!」
「確かに俺も間違っていると思う。けど、関係のない住民たちまで巻き込むのはやり過ぎだよ!!」
そうもう既に何十人もの犠牲者が出ている。
「ならお前もこっち側へ来いよ!何億人もの人間が消されるかもしれないんだぞ!多少の犠牲は仕方ないだろ!!」
「それでも!同じ命だ!!」
「うるさいっ!」
氷室は彼らから一斉攻撃を受け、はね飛ばされてしまい、地面へと打ち付けられた。
「いった.....」
白い羽からは血が溢れだしていた。白には紅がよく映え、不謹慎ながらも綺麗であった。
「室ちん!」
そこには紫原もいた。
ここは天界。本来入ることはできないがこの騒ぎである。悪魔はもうたくさん天界にいた。そして魔界にもたくさんの天使がいた。

ここで氷室はある決心をしていた。
「.....ねぇ敦。」
「何?室ちん。」
傷を見つめながらどうしようかとオロオロしている紫原にフッと微笑んだ氷室は平然と言ってのけたのであった。
「俺を堕天使にして。」
「な...に言ってんの?」
「この混乱を沈めるにはそれしかないよ。」
「でも!どうなるか分かんないんだよ!?死ぬかもしれないんだよ!!」
髪を過ぎてて振り乱しながら困惑した様子を隠せずにいる紫原。
「それでも...救いたいんだ。この世界を。」
氷室の瞳を紫原は知っていた。それは揺るぎない決意の瞳。
もう何を言っても聞かないことが分かってしまった。その瞳がそう物語っていた。
「っ...」
「頼む。敦。」
動揺を隠しきれないまま紫原は言った。
「分かった...」
「敦.....」
「だけど1つ条件がある。俺も一緒に行く。」
その発言に次は氷室が驚いた。
「何を言ってるんだ、敦!俺は暴走するかもしれないんだぞ!!」
「そんぐらい止めれるし。」
「無理に決まってるだろ!それに万が一暴走しなかったとしても"光"を発するはずだ。それに悪魔であるお前が耐えられるはずがない!」
"光"とは天使が発する闇を浄化すはものだ。
醜い心は綺麗になる。
闇は光になる。
つまり悪魔にとっては悪影響なのだ。
本来ならば逃げるなり何なりするもの。にもかかわらず紫原は側にいるというのだ。
普通の天使であっても威力のあるものだ。堕天使のものだと凄まじいものであろう。
堕天使とは決して汚れた天使ではない。ただ自身の目覚めていないい力が一気に沸きだし、制御できぬまま朽ちていくだけ。
「堕天使になれば室ちんは死ぬ!なのに、おれには生きろっていう訳!?そんなの...残酷すぎる.....」
涙が紫原の頬を伝う。
「敦...ごめん。分かった。一緒にいこう。」
そんな氷室の頬にも一筋の雫が流れている。

どちらからともなく唇を重ね合わせた。
あぁ神様はなんて残酷なのでしょう。愛を伝え合う行為であるはずが、どうして2人を引き離すのでしょう。

その刹那氷室の真っ白な翼が黒へと色を変えた。
そして光を放つ。その強烈な光に周囲の者たちが目を細める。
そして紫原の方へと手を差し出す。
どうやら自我は残っているようだ。
そして彼らは天へと羽ばたいていった。
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