悪魔と天使

□君もあんたも人間で
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あの出会いを遂げた後2人は陽泉高校で再び出会った。


「敦。まだ食べるのかい?」

「別にいいじゃーん。」

「はいはい。」

バスケに対する姿勢では相容れない2人であったが、共に行動する時間は少しずつ増えていき、今では一緒にいない時間の方が少ないくらいである。

外を見れば桜が少し散り始めた頃だった。春はまだこれからといった感じである。
入学からそれほどの時間しか経っていないにも関わらず隣にいるのが当たり前となってしまった。
これはやはり運命なのだろうか。




紫原は授業中であるのを忘れたかのように大陽の光に目を向けた。

『あの夢なんなんだろーなー...太陽なんかよりもっと白くて綺麗で、でも苦しくてたまらなくて離れたくて.....なのに暖かくて....なんて言うんだろ.......ずっと包まれてたい...みたいな?』

あの日彼を消してしまうほどの強い光を思い出し、けれど思い出したという自覚もなくただ光に身を寄せるだけだった。



同時刻氷室は同じく葛藤していた。
彼の中では誰かの声が響いていた。

『 “俺も大好きだよ。” 』

『誰?とても敦の声に似ている。けど敦な訳がない。そんなこと言われたこともないし...あぁ、なんて愛しいんだろう....なんでこんなに寂しいんだろう......』

黒板に書かれている文字を目で追うのを止め、目線を下げた。
ノートに写すという単純な作業すらもままならなくなり、彼は授業を受けることを諦めた。頭の中に響く懐かしい声を聴くことに神経を集中させた。
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