Short★book

□素直ですから
2ページ/2ページ

「ここはこの公式を応用するんだ。分かるか?」
「あぁなるほど。」

「年表か...語呂合わせで覚えてみたらどうだ。1192(いいくに)作ろう鎌倉幕府みたいに。」
「あぁなるほど。」

テスト勉強は思ったより順調に進んでいった。
「光樹は飲み込みが早いね。」
「いや征十郎の教えかたが良いんだよ。」
範囲の勉強もとりあえず一通りは終えた。
「じゃあまとめの問題でもしていこうか。」
「うん。」
そこで赤司がイタズラを思い付いた子どもの様に笑った。
「ねぇ光樹。」
「んー?」
と赤司の顔を見てその様子に気づいたのか苦笑いを隠せなかった。
「良いこと思い付いた。」
「え...嫌な予感しかしないんですけど.....」
迫る赤司に引く降旗。
「今から出す問題に間違えたらキスするよ。」
「...は?」
「いいね。じゃあスタート。」
「いや、待て待て。」
「第1問。」
降旗の制止も聞かず問題がスタートした。
「不正解。」
「...........」
どうやら1問目の問題を降旗は間違ったようだ。
チュッと可愛らしいリップ音が響く。
「不正解。」
「...........」
どうやら2問目も降旗は間違ったようだ。
またまたリップ音が響く。
「...不正解。」
「...........」
3問目も間違ったようだ。
赤司は立ち上がり降旗を押し倒した。
「ん!...はぁ..ん....ん.....」
激しいキスの音が部屋を支配した。
ようやく解放された降旗は息を切らし顔を赤らめていた。
「.....やる気あるの?」
少し怒った様子で降旗に詰め寄る赤司。
「さっきまで出来てたよね?」
降旗が視線を反らす。
その反応にムッときたのか降旗の顔を掴み自分の方に向けさせた。
「答えて。」
すると降旗がようやく口を開いた。
「征十郎が悪いんじゃん。」
「は?」
もちろん赤司は意味が分からないといった様子である。
「間違ったらキスするとか.....いうから...........」
「もしかして.....」
「ひ.....久しぶりに会ったんだからしたいに決まってるじゃん///」
そして赤司はようやく気づいた。
『そうか...それでわざと.....』
頬だけならず耳まで真っ赤にさせて横を向く降旗を見てフッと笑って自分の方に引き寄せ抱き締めた。
「な..に.....」
「光樹は可愛いな。」
「っ.....うるさい!」
ヨシヨシと頭を撫でる。口では抵抗しているが手を払い除けることはしない。
『そこが可愛いんだよ、まったく。』
「そうだな。正解したらキスにしようか。」
「.....うん、それがいい。」
そうしてテスト勉強が再開した。
それから降旗はほとんど間違えることなくまとめを終えた。
何回キスしたのかは彼らだけの秘密。

「光樹は本当に素直だよね。」
「だってたまにしか会えないんだもん。素直にならないと後悔する。」
「好きだよ。光樹、愛してる。」
「何、いきなり....」
「僕も素直になってみようかと思ってね。」
「...俺も好き。」
そうしてまた2人はキスを交わしたのだった。

余談であるが降旗はテストでものすごい点数を取ったらしい。もちろん良い意味で。
赤司にご褒美を貰ったとか貰ってないとか。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ