Short★book

□空を仰ぐ光よ
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ガラッ
「失礼します。」
カツカツカツ
「黒子先生。勉強を教えていただきたいのですが。」
ここは職員室。入室してきたのは帝光中学校の3年生で生徒会長でバスケ部主将で学年首席で教師でも頭の上がらない赤司征十郎である。
そんな彼が勉強を教えろと言っている。
職員室にいた教師陣は戦慄した。
それは黒子も例外ではなかった。
「...僕が教えることなんてありますか?」
その他の教師たちは全くその通りだ!と思っているに違いない。
「僕なんてまだまだ知識が足りませんよ。教えていただきたいことはたくさんあります。」
彼のテストの平均点は100点。
つまり全教科100点満点である。
そんな彼が知識が足りないとかふざけんな!と教師たちは思っていることだろう。
「...分かりました。では会議室にでも行きましょう。」
腑に落ちないながらも勉強を教えようと黒子は立ち上がった。
黒子先生頑張って!と教師たちの心は1つ。
というか赤司が来てからはずっとまとまっている。
「ありがとうございます。」
黒子が職員室を出ていった後、赤司も一緒に出ていった。

会議室に着き、隣り合って椅子に腰掛ける2人。
「...どの辺りが分からないんですか?」
「こころの所なんですが。」
「あぁ夏目漱石ですか。」
黒子は国語を担当している。
「はい。」
赤司はカバンからワークを取りだし、パラパラとページを捲り目当てのページを開き、机に広げて問題を指差した。
「この問題がよく分かりません。」
『赤司くんにも分からないことなんてあるんですね...』
と黒子は内心驚愕していた。
驚きながらも赤司の指差したところを見る。
そこには(先生がお嬢さん、静に結婚を申し込むまでの心の動きを、Kとの関係性、お嬢さんへの思い を中心にしながら説明しなさい。)と書かれていた。
「これはですね...........というわけで答えは 、先生は御嬢さんが好きだ った。しかし、Kが一途に道を目指していたときは、Kの手前、恋心を表に出すことができなかった。Kから御嬢さんへの恋心を打ち明けられると、Kに先を進ませまいと、「覚悟」を問う。それでも不安になって、Kを出し抜いて結婚を申し込むことを考える。というような感じになります。」
「なるほど。さすが黒子先生ですね。分かりやすかったです。」
「いえ...そんな......」
とは言っているが、黒子自身褒められて悪い気はしていないだろう。
「じゃあ次は...........」
しばらくの間赤司の質問は続いた。
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