Short★book

□空を仰ぐ光よ
2ページ/4ページ

時計の短針が9を指した頃、ようやく黒子は赤司の分からない問題全てを教えることができた。
「こんなに長くまで付き合わさせてしまってすいません。」
と赤司は少し頭を下げた。
「いえ、構いません。また分からないところがあったら聞いてくださいね?」
黒子はニッコリと笑ってみせた。
「ありがとうございます。」
赤司も微笑んだ。
「赤司くんも時間大丈夫なんですか?」
ふと思い立ち聞いてみる。
「僕は毎日部活で帰る時間はこんなものなので気にしないでください。」
『そうでした。バスケ部でしたね。』
すっかり忘れていたため、言われて思い出した。
「では帰りましょうか。玄関まで送ります。」
「ありがとうございます。」
2人は椅子から立ち上がり会議室を後にした。

玄関まで長い廊下を歩く。
「もう遅いので気をつけてくださいね。」
「それは女子に言う言葉ではないんですか?」
苦笑いを溢す赤司。
「赤司くんは綺麗ですからね。」
「.......綺麗ですか?」
目を見開き驚いている。
それに対し黒子は平然とした様子でこう返す。
「綺麗でしょう。誰がみても。」
「黒子先生の方がお綺麗ですよ。」
「冗談はよしてください。」
クスクスと2人の笑い声が響く。
「窓が開いていますね。閉めておきましょう。」
黒子がそこに駆け寄ろうとすると、赤司が
「僕がやりますよ。」
と黒子を制し、窓に駆け寄っていった。
しかし、窓の前で赤司は空を見上げ固まった。
「赤司くん?」
その様子を不思議に思い、声を掛ける。
「ねぇ先生..."月が綺麗ですね"。」
「.....え。」
「ここまでで結構です。ありがとうございました。」
パタンと窓が閉まる音がした。
そして赤司は黒子の方を向き、微笑みそう言い残して去っていった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ