Short★book

□突然に
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〜赤降〜

「来ちゃった!」
目の前にはポカーンとした赤司。
考えていることは一目瞭然。なんでここにいるって思ってる。
さぁなんででしょう?

昨晩の電話でのこと。
「明日はクリスマスだね!」
はしゃいでそう言うと
「正確にはクリスマスイブだけどね。」
クスッと笑って訂正される。
「もうなんでそういうこと言うかなー?」
「というかそんなにはしゃぐことかい?」
「え、赤司クリスマス興味ないの?」
「いや、だって顔も知らない昔の人の誕生日ってだけだろ?」
「え、えー...」

なんていう会話が繰り広げられていた。
それが降旗が京都に行こうと思ったきっかけ。
新幹線も飛行機もやはりいっぱいで諦めようとしていたところ、なんと奇跡的に空席が出て、来ることができたという感じである。
神様も行けと言っているのであろうか。

「.....なんでここに?」
そして冒頭に戻る。
「俺さ...別にそんなにクリスマスが楽しみだったわけじゃないんだよ?」
おもむろに語りだした。
少し下を向いて苦笑を溢しながら。
「ただ...そういう記念日なら赤司に会えるかなって.....口実になるかなって.....思っただけなんだ。」
そう口にした瞬間温かい何かが降旗を包んだ。
「光樹...」
言わずもがなそれは赤司である。
「だからまた来年も会いに来てもいい?」
顔を上げて不安そうに尋ねる。その様子はまるで子羊のよう。
「いや...ダメだ。」
その瞬間降旗がビクッと、肩を揺らす。
「来年は僕が会いに行こう。」
「へ?」
先程までの表情が消えてキョトンとなる。
すると赤司がフッと笑う。
「そうだね。記念日も大切にするものだね。君に会いに行けるんだから。」
「.....ありがとう。」
花が綻んだかのような笑顔で微笑み合う2人。

『まぁ君に会いに行けるなら記念日じゃなくたっていつでも行くけれどね。』

そう心で呟いたのはどちらかしら?
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