Short★book
□届かないと知っていた
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俺には兄がいる。名前は辰也。
俺より体は小さいけれど、とてもとても大きくて敵いそうにない。
心がとても大きくて、暖かくて俺までﾎﾜｯとなるんだ。
俺が我儘を言って困った顔をするところも、嬉しそうに笑うところも、驚いたように目を見開く動作も全部全部大好き。
弟としてではなくて、恋愛的な意味で。
もちろん辰也はこの想いを知らないだろうし、伝える気もない。
もし伝えてしまったら、優しい辰也のことだ。ひどく頭を悩ませることだろう。どうしたら俺を傷つけないのかを考えてもしかしたら受けてくれるかもしれない。
けれどそんな同情染みた愛情なんて俺はいらない。
そんな関係になってしまうくらないなら兄弟のままの方がましだ。
だから言ったりしない。
この気持ちは俺だけのものだ。
絶対に知られてはいけない。
というか知られたくない、絶対に。
墓場まで持ってくなんて言葉があったっけ？俺は是非そうしたいね。
辰也の一番側にいれるならそうなっても構わない。
辰也が結婚なんかして離れることになったらもう生きてる意味とかないかも。
まぁその時になってみないと判んないけどさ。
できることなら一生一緒に。