Short★book
□狂気に垣間見た何か
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降旗財閥。決して大財閥という訳ではなく、知名度は少しはある程度というレベル。それでも人よりは裕福で、良い暮らしを送っていた。
そこの1人息子、降旗光樹。優しい両親に恵まれ、優しく育った。
遊ぶことが大好きで、独りでいることは少ない寂しがり屋だった。
そんな彼と一際仲の良い赤司。彼は赤司財閥の御曹司。このときから2人はずっと一緒で遊ぶのも、パーティーへ参加するのもどちらかが参加しないならば参加しないが彼らの言わずとも決められたルール。とても幸せだった。
「光樹....ごめんね......」
「お前は生きるんだぞ.......」
何故か降旗財閥の商品を扱っていた会社が、突然縁を切ると言い出し、降旗財閥は存続の危機になった。それでも懸命に何とかしようとした降旗夫妻だったが、それも長くは持たなかった。そんな彼らは光樹だけはと考え、自害。
独りになってしまった光樹は仲良くしていた赤司家に引き取られることに。
光樹は悲しくて泣いたけれども、意外にも持ち直しは早かった。それは赤司がいたからだ。彼らは今まで以上に親しくなった。
赤司家にも慣れ始めた頃。赤司と庭で遊ぶ約束をしていた降旗は赤司の部屋へと足を運んだが肝心の赤司がおらず、使用人へ尋ねると赤司の父親の部屋にいるという。降旗は赤司の父親、つまりは赤司財閥のトップの部屋へと向かった。
部屋の扉が少し開いており、赤司の声が僅かに聞こえてきた。その声に安心してさらに近付く。そうすると会話の内容まで聞こえてきた。
「お父様。僕の願いを叶えてくださりありがとうございます。」
「いや。それがお前の将来のためになるのならなんでもしてやろう。」
「必ずや期待に答えてみせます。」
「それより良かったのか?本当に降旗財閥を潰してしまって。」
「いいのです。その方が都合が良かったので。」
「そうか。光樹くんは随分と落ち込んでいたが。」
「そうですね。それに大きな意味がある。」
その内容に降旗は驚愕した。つまり急に会社たちが縁を切りだしたのは赤司財閥が圧力をかけたからだ。
『じゃあ...母様が...父様が死んだのは......征十郎が........』
そうだ。赤司が望んだから降旗の両親は死ななければいけなかった。
よくよく考えれば変な話だ。何もしていないのに急にそっぽを向く会社。倒産の危機であるのに手を差し伸べてくれない赤司財閥。降旗が親族ではなく赤司家に引き取られたこと。
その場を駆け足で立ち去る。
『そんなに俺のことが嫌いだったのか...』
『ろしてる....』
「殺してやる!!!!!」