女装しなきゃいけない赤司様!

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「只今戻りました。お母様。」
そこには静かに本を読む1人の女性がいた。
「あぁ、おかえりなさい。征華。」
とそっと本を閉じた。
「それで何かご用ですか?」
「いえ、用というかただ顔が見たかたかったのよ。」
そっと微笑む母。
「そうなんですか。確かに久しぶりですものね。」
征華も頬を緩める。
「えぇ本当に。征十郎にも会いたいわ。昨日はいたらしいのだけれど、私は眠ってしまっていたから、会えていないのよ。」
「私は会いましたよ。元気そうでした。」
「征十郎は帰りが遅いらしいですね。まぁ付き合いもあるでしょうけど、少しは顔を見せて欲しいわ。」
わざとらしく息を漏らす母。
「私から伝えておきますよ。明日は早く帰るようにと。その代わり私は帰りが遅れますが。」
「あらそうなの。たまには2人同時に見たいものね。」
「中々予定が合いませんものね。」
2人はクスクスと笑う。
「そうね。私そろそろ眠くなってきたわ。」
「そうですか。ではお休みなさいませ。」
「そうさせてもらうわ。おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
一礼をしてから部屋を出ていく征華。
パタン
悲しそうな顔をした征華なんて誰も見ちゃいやしない。

その後、シャワーを浴びて昨日同様浴衣に着替え征十郎に戻った。
そしてベランダに出た。
「征華.....お母様は思い出してはくれないのだろうか。いや、思い出してはいけないんだろうね。」
その言葉は誰に聞かれるでもなく消えていった。

そして征十郎は眠りについた。
さぁ今宵の夢はどんな夢?
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