女装しなきゃいけない赤司様!

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それから更に2年が過ぎた。
彼らは小学校6年生になった。

ある日は突然やって来る。
「お兄ちゃん!一緒に帰ろ♪」
「あぁ。」
初めは車での送迎だったのだが、徒歩が良いといって聞かなかった彼らは父親と言い争った結果、徒歩となった。
「今日ね、おもしろいことがあったの!同じクラスの巻藤くんがね.....」
話題を作るのはいつも、征華だった。
「そうか。.....それは良かったな。」
征十郎はそれに一言二言返すだけであった。
彼はその時間が好きだった。
つまらなさそうに見えるかもしれないが、楽しかったのだ。
それを征華も分かっているから、話し続ける。
彼女もまた楽しそうに。
信号待ちであっても楽しそうに話し合っていた。
その時征十郎がふと信号の向こうに目を向けた。
目を見開き、彼の時間が止まってしまったかのようだった。
「か.....あさん........」
彼が見つけたのは彼の本当の母親の後ろ姿だった。
そう呟いた瞬間彼は駆け出していた。
信号は赤。
車は通っている。
彼に向かっていくトラック。
征十郎は待っていた。何をするでもなく自分が轢かれるのを。
死にたかったわけではない。
生きるというイメージができなかっただけ。
ドンッ
彼の体は宙に浮いた。
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