女装しなきゃいけない赤司様!
□09
2ページ/2ページ
「な...んでですか?」
一瞬、黒子が表情を崩したのは一瞬だけだった。バレまいとすぐにいつもの無表情に戻し、次の言葉を待った。
「なんか分かった。」
吹っ切れたように笑う降旗が何かを隠している様子はなかった。
会った瞬間に顔がそっくりだなと思った。双子なんだしそれはまぁ良かったんだ。目が合った瞬間に恐怖が心を占めたと同時に懐かしさがこみ上げてきた。会ったことがあると思った。
彼を纏っている雰囲気がとてつもなく似ていると思った。
何より最後に悲しそうな顔をしていた。あの顔は時々征華さんがしていた表情だった。一緒だったんだ。俺が支えたいと思った顔だった。
『征華さんだ。』
分かるなという方が無理な話だ。
「そうですか....けれどこれは僕が返事をすることではありません。」
黒子はもう何を言っても誤魔化すことは出来ないと悟り、遠回しに肯定をしたが、はっきりとは言わなかった。いや、言えなかった。
これは赤司自身が決めることだと思うから。
「ですから、赤司くんに聞いてください。」
「分かった。」
静かに頷いた。
もう全てを決心したかのような強い瞳であった。