女装しなきゃいけない赤司様!
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「ねぇ、降旗くん。」
赤司の優しそうな声に、降旗は手を解き、彼と向き合い顔を見た。
とても綺麗に笑っている彼に見惚れ、言葉が出なかった。
「ありがとう。僕は自分が誰なのか不安だった。僕は僕でいていいのか分からなかった。」
その言葉を聞いた瞬間、降旗は声を上げた。
「赤司は赤司だよ!征華さんじゃない!!だから.....!!」
「うん。君のおかげで霧が晴れた。僕は僕だよ。征華は死んだんだ。」
ふっきれたように笑う赤司を見て、降旗は安心したようにふにゃっと笑った。
「降旗くん。」
「あ、えっと光樹でいいよ。」
「え?」
「だって今まで名前だったじゃん。だからこれからもそのままでいい。」
「じゃ僕も征十郎って呼んでくれ。」
「ん、征十郎!」
降旗は顔を赤く染め、はにかんでいた。
その様子に赤司は、雰囲気を真剣なものへとがらりと変えた。
「光樹。」
「ん?」
「...好きだ。」
風が2人の間を通り抜けた。