女装しなきゃいけない赤司様!

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「好きだ。」

たくさんの不安を込めてその言葉を放った。赤司はただじっと降旗のことを見つめ続けた。
彼には確証があった。降旗が自分のことを好いているという確証が。根拠はない。ただ彼を見ていてそう感じたのだ。征華ではなく、自分を見てくれているのだと。
だがその自信は降旗の一言でかき消された。




「うん、俺も好きだよ!だからこれからも友達としてよろしくね!!」



とびっきりの笑顔を添えてそう言い渡されたのである。
そこで赤司は1つの疑問を抱いた。

『なんか..無理してる?』

赤司の目には降旗が無理に笑っているように見えたのだ。僅かだがつらそうにも見えた。

そこで赤司は気付いてしまう。彼が嘘をついていることを。彼はきっと自分のことが好きだと考えは変わらない。昔から人の表情を窺って生きてきたのである。そのつらい昔も今は良い生きる糧となっている。

『もしかして...僕の気持ちが勘違いされているとか?』

降旗が友達でいたいというのは嘘であろう。もし赤司の気持ちを友情だと勘違いしているのだとすれば辻褄は合う。赤司に気持ちを伝えられないのはそのせいだと。
そう結論を出した赤司はニコッと微笑んで降旗に言葉を放った。



「あぁ。よろしく。また連絡するよ。」

赤司は自分が想いを告げる時期を見誤っていると気付いた。


『そうだ。まだ何も解決していないじゃないか。なぁそうだろ?征華.....』

全てが終わった時、もう一度告白しようと決め、互いのチームメイトの元へと帰って行く。
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