女装しなきゃいけない赤司様!

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「好きだ。」

この言葉を聞いた時、とても嬉しかった。けど同時に悲しくもあった。
だって彼の想いと俺の想いは違うのだ。叶う筈がない。そんなこと知っている。

だけど、例え意味が違うとしてもやっぱりものすごく、ものすごく嬉しかったんだ。俺も好きだよとは言えない。そんなこと言ったら軽蔑されるに決まっている。
だから俺は

「うん、俺も好きだよ!だからこれからも友 達としてよろしくね!!」

としか言えなかった。その時必死に笑顔を作った。それは彼の目にはどう映ったのだろうか。ちゃんと笑えていたのかな?それともなんか微妙な顔してたのかな?分かんないや。

赤司の次の言葉を聞いてあぁやっぱりと思う。さっきのは友情だった。けして愛情なんかじゃなかった。
分かっていた。けれどもやはり少しは期待してしまった。赤司も同じ気持ちなんじゃないかって。でも違った。そんなわけがなかった。期待なんてして馬鹿みたいじゃないか。
そんなこと言うなよ。あんな真面目な顔してそんなこと言うなよ。
笑いながら言ってくれたら良かった。そしたら勘違いなんかしなかった。期待なんかしなかった。あんな....あんな格好いい顔で言われたら誰だってドキッとするに決まってる。
そうだ全部赤司のせいだ。赤司が悪い。もう嫌いだ。大嫌いだ。











ごめん、嘘。

「大好きだよっ.......」





涙が出てしまうくらいに好きだよ。嫌いだと嘘でも思ったらつらくなるくらい好きだよ。そんなこと永遠に言える訳がないけれど、想うことくらい許してよ。
胸が痛い。心臓がうるさい。涙も止まらない。
止まれよ、止まれって.......
そしたらこの想いはこれ以上募らなくて済むのに。




   











誰も通らない廊下で1人の少年が泣いていた。
すれ違う想いに終着は果たしてあるのか。
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