女装しなきゃいけない赤司様!

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降旗光樹、0歳。
彼はゴミ捨て場の中で発見された。既に瀕死の状態だったという。生まれて間もないその赤子は孤児院へと引き取られた。皆はその子を可哀想と哀れんだ目で見た。降旗は賢い子ではなかったけれど、聡い子ではあった。人の感情を読むことに長けていた。人の表情を伺うことが得意だった。だから、幼いながらに理解してしまったのだ。ここは、自分は普通とはかけ離れたものなのだと。
彼の一生を遡ってみるとしよう。









「おそらく生まれたばかりでしょう。数ヶ月といったところでしょうか。」

医師の告げた言葉はあまりにも残酷なものだった。

「そんな....」

可哀想だと。誰しもが思った。一言目、二言目には可哀想。


降旗が孤児院で生活し始めてから3年がたった頃。たくさんの言葉を覚えた。
嬉しい。楽しい。
悲しい。苦しい。
たくさんの感情も覚えた。
そして小さい頃から耳に入ってきた可哀想という言葉も覚えた。どんな意味か分からなかったが、意味を覚え、良い意味ではないことを知った。
降旗は可哀想という言葉が嫌いだった。

降旗は人前ではただ笑い続けた。笑いたくなくても笑った。そうすることで、可哀想だと思われないと思ったのだ。実際、その彼を見てこの子は大丈夫と他人は思った。強い子だと。他人は勝手に評価した。





「こんにちは!今日からよろしくお願いします!!」

新任の先生がやってきた。

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