女装しなきゃいけない赤司様!

□15
1ページ/2ページ

「初めまして。降旗くん!」

「初めまして!先生!!」

降旗はいつも通り満面の笑顔で挨拶をした。しかし、先生はそれを見て顔をしかめて、膝を追って降旗と目線を合わせた。

「降旗くん。別に無理に笑うことないのよ。」

「僕、別に無理なんかしてないよ?」

「私ね。人の心の色が見えるの。降旗くんのはね青色なの。本当に笑顔の人はねピンク色なの。だからお願いよ。無理しないで。」


ニコッと笑って降旗の頭を撫でた。
降旗はその言葉に表情に茫然とした。先生が何を言っているのか分からなかったからだ。いや、厳密にいうと何が言いたいのかは分かったが、何を言っているのかは分からなかったのだ。

『心?色?.......けどきっと本当だ。だって僕は僕でいられなかったんだもん。本当は無理して笑いたいんじゃなくて、泣きたかった。自由に笑いたかった。』

降旗の瞳から涙が溢れ出した。
先生はその様子を見て、満面の笑みを浮かべ降旗を抱きしめた。




「降旗くん。泣くのは悪いことじゃないの。泣いて学ぶこともあるのよ。」

「でも泣いたらみんな、僕のこと可哀想って言うんだ...」

「人の言うことなんて気にしちゃ駄目よ!貴方は貴方なの。」





しばらくして里親が見つかり、降旗は引き取られることとなり、施設を出た。
その先生が今何処にいるのかを降旗は知らない。
けれどその先生がいなければ今の降旗はいなかった。好きな時に笑い、好きな時に泣くことが出来るようになった。


けれどただ1つ。子供が知るべき感情である家族の愛情というものを降旗は未だに知らない。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ