novel

□秘めた恋心
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「シン、お慕いしております」


この人に好意を持ち始めたのは何時からだったろうか
おそらく、もうずっと前の事なのだろう

この気持ちは彼に対して持ってはいけないという事は、その頃から分かっていた
だから「かつてのように」この気持ちを押し殺してしまおうとした、けれど、出来なかった
年を重ね彼の様々な面を知るに従ってその気持ちはどんどん大きくなっていた
それでもその気持ちを表に出さないように押さえ込んできた
しかしついに歯止めがきかなくなり、たった今、その気持ちを打ち明けてしまった


「ジャーファル、それはどういう…」

「私が貴方に好意を抱いているという事です」


それまでせき止められていた気持ちは一度流れだしたら、とどまることはなかった


「私はずっと前から貴方のことを愛していました、はじめはこの感情は間違いだからと押し殺してしまおうと思いました…しかし、この感情は貴方を知るに従ってどんどん強くなってしまったのです

シン、貴方のことが好きで好きでたまらないのです」

「…ジャーファル、」

優しく頭を撫でられ、そっと頬に手が添えられる
シンに触れられている頬があつい


「ジャーファル、お前の気持ち
にはこたえられない」

「!!…っ、」


…やっぱり、な
まあ、これが普通だよな


「別に嫌悪感を抱いている訳ではない、しかし俺達はあくまで『主従』にすぎない…この関係を崩すべきではないし、それは許されない事だ」


分かっていても、はっきり言われるとキツいなぁ…


「すまない、どこで間違わせてしまったのか…」

「や、やめてください貴方は悪くありません!
私が立場や性別をわきまえずに勝手に好意を抱いてしまったのがいけないのです…!」


まずい、泣きそうだ
分かっていたのに、どうして伝えてしまったの


「すみません、失礼しますっ…!!」

「おい、ジャーファル…!」


こんな情けない面をシンには見せられない
シンの声など無視して思わず部屋を飛び出す

「ジャーファル、聞け!!」


扉の向こうからの声に私は逆らうことが出来ず、力無く扉にもたれかかる


「ジャーファル、何も言わなくていい…だが聞いてくれ」

「……はい」

「もう俺に好意を持つのをやめろ、俺に好意など持ってもお前が辛くなるだけだ、俺はお前に辛い思いをさせたくない…今ならまだ、踏み外した道を正すことが出来る」

「…」

「だから、
『なかったこと』にしよう
今あったこと全てを…いいか?」


私が貴方の命令に逆らわないことを知っているくせに、本当に貴方はずるいひとだ


「…はい、」

「そして…これは俺の『独り言』だ


…ジャーファル、俺もお前のことをずっと愛していたよ」



その言葉を聞いた私は涙を止めることが出来なかった


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