ショウセツU
□愛に生き、愛に死す
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「…怯えるな…何もしねぇ。」
口に空いている方の手の甲をあてる
これが言葉を失ったソルの精一杯のつっこみだった。
「…愛してる。」
―彼の口から出た言葉。
心が痛む。
ずしっと重みを感じた。
ソルは目を瞑った。
言葉の意味を 把握出来ずに。
「…………。」
考えても解らない。
相手は憎い あいつなのに。
何だか悔しくて、噛み締める。
握られた腕に痛みが消え 開放された
逃げられない
足を進めようとしない
「………俺を、。」
やっと出た言葉。
先が繋がらない。
何を繋げていいのか分からない。
ソルは黙って立ちすくんだ。
「……一人で考えな。」
言うと彼は 家を出て どこかへ行ってしまった。