ショウセツU
□愛に生き、愛に死す
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「…好き、なのか…?…愛…してんのか…?」
先ほどまでの勢いがない。
この家から、あいつから逃げ出したくて仕方のない気持ち。
何の不安が そうさせていたのだろう。
「…あんな奴…。」
好きなわけがない。
ましてや、愛してなんか。
ソルはぎゅっと目を瞑った。
何故か変に苛立つ。
ふと 唇に触れた。
―嫌悪感がない。
憎い あいつにキスされた事に嫌悪感を抱いてない。
何で
「…どうしたんだ…俺は…。」
拳を額にあてる。
ぎりっと歯から音がした。
遠くで足音が聞こえた。
奴が戻ってくる。
「…結局解らなかった…。」