ショウセツV
□酔っているのか
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―深夜とも早朝とも呼ばれる時間帯
まだ暗く冷えきった裏路地を歩く
あれから暫くの時が流れた
今日こそ
この間の借りを返すという口実で彼に会いに行こう
「…ソル」
何だか今日は居るような気がしていて
カウンターの端に座り一人酒を飲んでいる存在に然程驚いた様子を見せずに声をかけた
「…またテメェか」
伝票代わりに飲んだ分だけ置かれるプラスチック製のカードが積まれている
普通の人間では考えられない程の量だ
「この前の事を申し訳なく思っている。借りを返しに来た」
「…そうかよ。そりゃわざわざご苦労だな」
カイは話しながらカウンター越しに立つマスターに向けて人差し指を立てた
「潰れても今日は送ってやれねぇぞ」
「…二度、同じ過ちはしない。それより自分の心配をしたらどうだ?かなり飲んでいるのでしょう?」
「まぁな…」
「何かあったのか?」
「別に…」
「酔ってるのか?」
「…それなりにな」
カイは手元にきたお酒にを一口飲み
隣に座っているソルから視線を外した