ショウセツ

□逝った恋人
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―自分の弱さ故に…



お前が居ない...





真夜中
誰一人と住んで居ない古ぼけた町。
ソルとカイは歩いていた。



夜行性の鳥の声が心地よく。
初冬の風が冷たい。


明かりはソルの口元から灯る 一本の煙草だけだった。




「ソル…」


「…あぁ、気付いてる。」



鳥肌の立つような凍りついた感覚が背筋を這う。
近くに何かが来ている。



そう読み取った二人は愛用の武器を構えて背中合わせになり息を殺した。



「………。」



暫し静けさが夜を包むと それは瞬時に解き放たれた。



「…ソルッ!!」


カイ側から飛び出してきたそれをカイの目が捕らえると背中に居る相手に教えるように叫んだ。



「…ちっ…なんだこの数は…!」



ソルの目に映ったものは 一つではなく 瞬時に検討もつかないほど立ちはだかっていた。
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