ショウセツU
□別れは来るもの
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消せ
誰でもいいから
脳内から記憶を
消せ
誰でもいいから
―愛故に嫌悪
「ぁ ソル、おはようございます。」
先に目覚め、身なりも整えていたカイに迎えられた朝
朝食の香ばしい香りが漂うリビング
ソルは重い瞼を開いて あぁと軽く返事をした。
それに微笑む彼を見て 少し気が安らいだ。
いつからか元通りの生活に戻っていた
忌まわしい事実を伏せて
愛を包んだ部屋に身を置き、愛しい人との生活を満喫している。
それの何がいけない
何が気にくわない。
「ソル?」
ぼーっと立って居たソルにカイが首をかしげる。
何故だろう、その仕草は可愛いもののはずなのに腹が立つ。
認めたくない。
彼に怒りを抱いている事実。
あの事がまだ 自分の中の何かを蝕んでいるのか。
「早く顔を洗ってください」
それには返事もせず、無言で洗面所へと向かった。