ショウセツV
□見失った、見つけた
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「あぁ君か…それで、例の人は……、ァ!」
家主がソファに座りながらこちらを見る
目が合った
その瞬間、家主の表情が一変した
「連れてきてくれたか!」
「ぇ…?ぇ?…ソル?」
「ふむ…もっとこっちへ来てくれないか?私は足が弱くてな…」
聞けば金髪で蒼い瞳の男性を探していたとのこと
その理由を聞いてカイは複雑そうな表情を見せた
「お見合い…ですか」
「ああ、私の娘はもう28になる…。未だふらふらしているのでな」
「そういう事なら、娘さんに直接お話したほうが…」
「話したさ。そしたら『パパが金髪で蒼い瞳の綺麗な人を連れて来たら考える』と言ってな」
「それをどうしてソルが…」
「彼には少し貸しがあるんだ」
「…ちっ」
「ソル…結局はお前の助けじゃないか」
「フン…」
カイはガクっと肩を落とす
金髪だと言われた髪を少し弄りながら、窓に映る自分を見た
金髪で蒼い瞳
それは自分で合っている
ただ、綺麗な人
というのに引っかかる。
まさかソルがそう言われて自分に声をかけるなどとは思えない
大方、金髪で蒼い瞳というだけで連れてきたのだろう
「お見合い…か」
一度ソルに目を向け
複雑な感情を抱いた。