ショウセツV

□不器用
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―緊迫した空気が流れる会議室

大型の敵が
人類を滅ぼそうと向かってきている

一体なんてちっぽけな数字ではない

確認されているだけでも
血の気が引く数の敵が

みんなの大切なものを奪おうと

この町を目指して。



自分たちは
みんなの願いだから

自分たちは
みんなを守らなければならないから


ここにいる全員が、その戦場へと赴かなくてはいけない。


誰も口には出さない


怖い



みんなの顔が青ざめていく

冷静など保っていられる方がおかしい。



「…と、この作戦で行きます」



手に汗握って
着席をする



全員が死の恐怖を感じている

こんな時に気の利いた言葉でもかけてあげられれば。

いつもなら弱音など吐くな、と
そう言えるのに


今回は敵が多すぎる




どうしたらいいのかも分らない
勝算など。



それでも自分たちは勝たねばならない。








作戦開始の合図



「皆さん、私たちは今、迫りくる敵に怯えている」

「確かに我々は相当の痛手を負うだろう」

「だからと言って奴らは待ってくれなどしない」

「私たちを待っている人々の祈りを力に」


「神から与えられし正義を纏い」


「人類の希望となり」


「救ってみせようじゃないか」





 
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