ショウセツ
□無題
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「旦那はどう思ってんの?…自分の体質のこと…。」
「…考えたこともねぇ。」
「嘘だ。人と違うとこを考えないなんて…そんな訳ない。
嫌でも考えさせられる。…俺は身をもって体験してんだぜ。」
電灯に照らされて微かに見えるアクセルの悲しそうな表情。
ソルはそれに 何故か心を痛めた。
「…考えたところでどうにかなるって訳じゃねぇ…。それも身をもって体験してんだろ。」
「そうだけどさ…。」
暫しの沈黙。
夜の冷たい風が二人の肌を震わせた。
木々の奏でる寂しい音楽に二人は心を沈める。
「俺は…お前と違って長生きなだけだ。」
「……?」
「お前の苦しみは俺には理解できねぇ。…言葉のかけようがねぇんだ。」
「…旦那?」
ちっと舌打ちをするソルに少し戸惑い いつものように笑った。
「にゃははっ。いいってそんなの…。俺は…全然平気だからさッ。」
引きつる笑顔。
いつものように笑えない自分に苛立ちバンダナをくしゃっと握るとそれをはずして首を振り 髪を宥めた。