alias 〜偽名〜

□序章「origin 〜起源〜」
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100年以上の昔、この世界は、科学と機械によって栄えており『ストラディ』と呼ばれていた………

この全ての地域は、有能なる王「ガディウス」によって統治され、人々は平穏な日々を送っていた………

しかし、どれ程に有能なる王も、年月の流れには逆らえず、側近達の意志もあり、彼はついに王位を継承させざるを、得なくなる………

しかし、彼は国を治めることに勤んでいた為、妻を迎えるのが大変遅かった、その為、彼唯一の実子である「ウィリス」はその時、まだ幼年10歳の身、しかも彼の母、つまり王妃は、ウィリス出産と共に亡くなっているのであった…

しかし、王の高齢を理由に側近達は半ば強引に王位継承の儀をとり進めてしまう、そう、それがどんな結果を招くかなど、まるで知るよしも無く………

側近「では、最後の儀式です、この有界の洞窟に入られ、中で待たれているお父様から王冠を継承して来れば、ウィリス様、貴方が世界を治める者となります。」

眼鏡を掛けた女性がウィリスに儀式についての説明をする。

ウィリス「うん、でもさ、どうしてこんなめんどくさい、古臭いことしなきゃいけないの?」

側近「この儀式は、もう何代も昔から続けられてきている儀式なのです。その為、例え時代錯誤に感じたとしても、行わなければならないのですよ。」

ウィリス「ふーん、そうなんだ…でも、この洞窟、なんだか暗くて怖いなぁ…あ、でもリーフが着いててくれるもんね、怖いことなんかないよね。」

そう言うとウィリスは、説明をしていた眼鏡の側近に甘えて抱きつく。

このリーフと呼ばれた女性は、ウィリスの養育係で、母親を持たないウィリスは物心ついた時より、彼女のことをまるで母親のように慕っているのであった。

リーフ「ウィリス様、残念ながら、私はお供することは出来ません、この洞窟は、代々王とそれを継ぐ者しか入ってはいけない決まりになっているのですよ。」

彼女は、優しくそう言うと抱きついているウィリスの肩をもち、自分から少し離れさせた

ウィリス「え〜、いいよぉそんな決まりなんて、リーフが居なきゃ僕、入るのやだもん、」

リーフ「そのようなことをおっしゃらないで下さい、この儀式が終われば、ウィリス様は少なからず、この世界を治めるお方となります、そのお方がそんな弱虫でどうなさるんですか?」

ウィリス「そんなこと言ったって怖くて無理だよぉ〜」

リーフ「ウィリス様、ウィリス様も、今年でもう10になりました、リーフはウィリス様がそろそろ私ばかりを頼っておらず、自立して下さることを切に願っておりました、」

そう言うとリーフはウィリスの頭を優しく撫でる

ウィリス「え、あ、うん、」

リーフ「ですから、ウィリス様にはこの機会に、自立への第一歩を踏みだして頂きたいのです。これは、私だけの為では無くウィリス様の為でもあるのですよ?」

ウィリス「むぅ〜〜……わかったよぉ、リーフがそんなに言うなら僕、頑張ってみるよ、」

リーフ「頑張って下さい、ウィリス様、これは、ウィリス様の自立への第一歩なのですから。」

ウィリス「うん、じゃあ僕、頑張ってくるね、リーフ、懐中電灯を貸してよ!」

彼は決心すると、自分を奮い起たせるように大きな声を出した。

リーフ「あ、そうですウィリス様、昔からこの有界の洞窟の中では、原因は判っていないのですが、懐中電灯を含め、あらゆる機械が使用不可能になるそうです、その為、代わりにこれをお持ち下さい。」

そう言うと彼女は木の棒の頭に布が巻き付けてある物を差し出した

ウィリス「ふ〜んそうなんだぁ、で、この木の棒は何なの?スイッチが無いみたいだけどどうやってつけるの?」

リーフ「ウィリス様、これは松明というものです、懐中電灯のように電池で光るのでは無く、火をつけて燃やすことによって周りを明るく照らすという道具なのですよ。」

そう言うと彼女はマッチで松明に火を放つ、先に巻かれていた布は瞬く間に明々と炎を抱いた、

ウィリス「うわぁ、原始的だけどキレイだねぇ〜」

リーフ「ウィリス様、綺麗で見とれるのもよろしいのですが、これは本物の火です、とても熱くて危険ですので、気を付けて下さいね?」

ウィリス「うん、分かったよ、それじゃ僕、頑張って行って来るね!」

リーフ「ええ、ウィリス様、頑張って下さいね。」

そう言うとウィリスは、彼にとって全く未知の世界である暗い洞窟へと入って行った・・・
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