●心歪み編●
□第三章 〜来客〜
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「─ん〜……もう朝か?」
ゆっくりと目を開けると、もう朝だった。
部屋の窓から差し込む光が眩しくて、俺は思わず手のひらで光を遮った。
「まだ寝たりねー……」
俺は寝返りを打って再び目を閉じた。
ここ雛見沢に来てからというもの、自慢じゃないが寝坊をした事はあまりない。
最初は環境が変わったからだと思ったが…雛見沢に住んでから半年は経っているはず。
どうやら寝坊をしなくなったのは環境が変わったからではないらしい。
…多分、学校が楽しいからだろうな。
日曜日がこんなに退屈だなんて知らなかった。
月曜日がこんなにも待ち遠しいなんて思わなかった。
─やっぱり最高だな、ココは……。
俺はそう思いながら再び眠りにつきかけていた。
「圭一っ!そろそろ起きないと遅刻するわよ」
…そう寝かしてくれるはずもなく、一階からお袋が叫んでいた。
「…へいへい。分かってるよ!」
今から起きようと思った時に「早く起きなさい」と注意されて「今起きようとしてたよ」と反論する学生の気持ちなんて、親には分かるまい…!!
俺は眠たい目を擦りながら階段を降り、朝食を食べに行った。
「─いってきまーす!」
支度を全部済ませてから玄関の扉を開けて家を出た。
早く待ち合わせ場所に行かないとレナを待たせちまうな…。
「圭一くーん!おっはよ〜」
「おっす、レナ!」
レナは俺を見付けるなり、嬉しそうに笑みを浮かべて手をブンブンと振ってきた。
朝から元気だなー…アイツは。
俺も見習わないといかんな。
「あれ…?圭一くん、どうしたのかな?かな?なんだか元気ないよ…」
レナは心配そうに眉を下げて俺の顔を覗き込んできた。
「いや、昨日のアレがかなり疲れたみたいでよ…。さすがに興宮まで行って帰ってくるのはキツイかもな…」
「あはははっ、そうだね…お疲れ様!昨日は圭一くんも沙都子ちゃんも頑張ったと思うよ!」
レナはにっこりと微笑んで首を傾げた。
本当にレナは優しいな…。
それに比べてッッ…!!!
「やっほー!圭ちゃんにレナ!…って、あれー?圭ちゃん元気ないじゃん」
いつもの合流場所で手をブンブンと勢い良く振る魅音。
コイツは…「元気がない」などと白々しく言いやがって…!!!
「魅音んんーッッ!!昨日はよくもあんな罰ゲームを命じてくれたなぁ!?」