小説

□言葉はいらない
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じーっと俺を見た後のルカの一言。
「お前の髪って綺麗だよな」
「そうか?」
「ああ。見事に天使の輪できてるし。嫉妬されそうだぞOLとかに」
CMに出てくる女優並の髪質で、しかも見事な長髪を持つルカが言うのだからそうなのかもしれない。
何がおもしろいのか、くすりと笑うルカ。
「見れば見るほど触れたくなるな」
俺の髪を一房手にとって、何をするかと思えば。
そっと。
それに口付けている。
3秒ほど待って尋ねた。
「…何してるんだ?」
「キスしてる」
「なんで?」
「だってあんまりにも綺麗だったから。言っただろう、触れたくなるって」
触れるというのは唇でという意味だったらしい。
「お前の髪は好き。だから口付けた。悪いか?」
にやにやと笑って言われると、このまま「そうか」とかなんとか相槌を打って会話を終わらせたくなくなってくる。
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